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Velha~アラン渓谷〜カニグー

6月2日
ホテルのココちゃんと散歩に出かけた。
この辺りの猫(これは日本もそうね)も犬も好き勝手に外を出歩いている。
自由気ままに歩き回る。肉屋さんの前でもじっと寂しそうな顔してじっと黙って
見つめられたら誰だってつい何か差し出したくなるにちがいない。
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オーナーの留守の間、随分太ってしまったとか。何だか分かる気がする。
始めて出会ったのに、全託して仰向けに横たわって甘える。ダメな時はダメ。
寂しそうな目で訴えるがそれ以上後追いしない。
流石に私はリードをしてココと散歩するが、ココの自由気ままな散歩に私が連れて
行ってもらっている。そんな感じだ。
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ゆったりと流れる時間の中にスケジュール通り時間に追われる事、そのスケジュール
通り動く事に快感を覚えている几帳面な日本人独特の私達の旅が、その古都の時間枠
の中に迷い込んだような錯覚を覚えた。

思いのほか時間を費やした私達は、フランスの秘境、聖地カニグーを目指してそこを
後にした。
(今日は沢山走らないといけないんだよ)気持ちを切り替え車を山に向って走らせた。
段々山の頂上が近くなってきた。山のうえは雪を被っている。
まさかあの辺りまで行くんじゃあないわよね。

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アラン渓谷のロマネスク教会から望む山はついそこに感じる程である。
標高が高い性か高い木々は生えてないのだが、その裸のような山に黄色い地に這い
つくばったような黄色い花が映えている。
望遠で拡大してみるがうまく撮れない。
どんな花なんだろう?まさかあの山まで登る訳にもいかないし。。
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流石にこの頃になると私は建築にはあまり感動を覚えなくなってしまい、それよりも
植物や動物、空気感、生態系の方に興味を覚えていた。
工事中の車の待ち時間、目の前に止まって動かない黄色い鳥。
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どう考えても日本ではペットショップにいそうな鳥が目の前に存在している。
鳥に無知は私は名前さえ分からない。段々近づいてくる山。
もしかして、私達ってあの山近くまで行くの?計画した本人でさえ、地図上でのプラン。
まさかピレネーど真ん中を横切るなんて思ってもみなかったとか。
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約3000m級の山の頂上が段々高くなる。雪よ!雪!木々が凍っているじゃあないの?え?
あんな所まで行くの?いくら車だとはいえ、見るだけで寒くなってくる。
そんな後ろをオートバイに乗ったふたり連れが私達の車の後をしっかり付いてくる。

山に向かう程、樹木も変わり、先程、望遠で見た黄色い花々が目の前でこの寒さの中でも
きれいに咲きほころんでいるのだ。

「寒い!寒いよ!!停まって!写真を撮る」
車の中でガンガンに暖房をいれて暖めていた身体を氷の中に投げ出し写真を急いで撮って
車に逃げ込む。
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先程のオートバイのふたり連れも近くに停まってバイクを降りてきた。
幾ら皮の繋ぎに身をくるんでもかなり寒いに違いない。
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よく見ると、足が悴んで曲がったままである。滅多に見れない景色に興奮しながら山道を
降りると、20分あまりで、いきなり南仏のような気候と建物の風景の町に出た。

一山越えるだけでこれだけ景色が変わる。日本では考えられないことである。
まだ、ここはスペインよね。それにしてもこの温度差はどうなっているのだろう?
身体がなかなか順応しない。私達は、トイレ休憩も含めて軽い昼食を取った。

道路脇で休んでいると老人が大声で喚きながらなにやら可笑しな動作をしている。
側にいる人達も最初は無関心を装うが、その内、害が自分達に及ばない事を感じると、
その動作に笑いで反応し始めた。
どうやら、その老人は道路脇の電柱を相手に空手の動作を繰り広げているらしかった。
その電柱を空手チップで倒せるが如くに。。

遠目に私達を見ていた近くの人達も私と目が会うと言葉は交わさずとも笑いを通じて
親しみの表情を向け始めてくれた。確かにこの辺りでは私達はきっと目立つのだろう。

なしにろ旅行に出てから、スパーで買い物をして車の中で食べたりホテルの部屋ですま
せたりと本当にいい加減な食生活である。
日本では考えられないことである。こちらの人達は食生活は本当に質素だ外国に出る度
再確認させられる。
日本の様にあらゆる世界の料理を日本テイストにアレンジして食している人種はないの
ではないだろうか?
あまり拘らなく手抜き大好き人間としては案外ここの食生活は肌に合ってるのかもしれ
ないと思う。
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同じ様な山越えをして行くが、先程のような寒さはなく、山の植生も変わっていった。
ほんの小さな看板だけを頼りに山道を走ってみると、思いがけず素晴らしい教会に出会った。
近くの小学校だろうか?先生が引率されてのロマネスクの課外授業の場にかち合った。
その場所の石を積み重ねて創る教会は、その周りの家同様、同じロマネスク時代に作られ
たものであっても微妙にデザインも雰囲気も違ってくる。
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一番先に感じるのは、その石の色であり、質感の違いからかもしれないが。
思ったより早く予定のルートをクリアした我々は道程を延ばし、今夜の内にフランスの国境
を越え何とかカニグーに泊まれるよう走ることにした。

地図では直線に書かれているのだが、何ともスピンカーブの連続の急な山道である。
何処までも続く。我々の車がどうやら、後ろの車を引っ張っているようである。
こちらの車は本当によく走る。
フランスでは、高速道路の制限速度は130km/時だ。一般道でも90km/時である。
郊外では信号は殆どなく、その代わりにサークルになっており、行き先をそのサークル
を回って選ぶ。最初はとまどうが、一旦慣れると止まらずに方向転換できるこの方式は
なかなか便利である。

やはり私は、ナビの旅行より、ミッシュランの地図を見ながらの旅行が好きである。
迷いながらも地図を元に走った記録は、その地図を見ただけでその場所の情景がうかび、
何よりも走ったという証のようなだいじな宝物になるからだ。
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そういえば、しきりに相棒が口走っていたもんだ。『凄いよね、町中にこんなに凄い所
ばかり。まるで、宝石箱みたいだ!』
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さすがに、あこれだけ一日中山道を走ると隣りに乗っている私でさえ、疲れるのに、
運転手はもっと疲れているに違いない。
段々機嫌が悪くなり口喧嘩にもなってしまう。このたび、これだけの工程を走れるにも
最後かもしれないと気弱な言葉が出たものだから、始めて私も国際免許を取っていった。
レンタカーも万が一を考え、フルカバーの保険に入った。
ドライバーが二人に増えると費用も加算される。やっとに思いでカニグーに着いたのは
すでに7時を回っていた。

さすがにこの時期、唯一あったホテルも一杯で、一つ前の町でホテルを探した。
久しぶりのフランス語に思わず、『アベック、ドウシェ』と言うと、『ノン、ドウシェ!』
とフロントの女性に発音を直されてしまった。
昨夜泊まったホテルで、「フランス人ってすぐ、発音を直すのよねー」と盛り上がった後
だったものだから、 思わずひとり吹き出してしまった。
部屋はさすがに安いだけあって、ドアを開けないと便器に座れない程である。

一人用だが、日本人は小さいから大丈夫よね。と言われ、オッケーした。
まるで、ビジネスホテルお得用コースによくあるセミダブルの大きさである。
インターネットのパスワードをもらうにも、ここでは一つ5ユーロも取られた。
後で、『日本人は大抵バス付きの部屋を希望するのに、君たちはシャワーだけでいいのか?
奥さんがあえて、シャワー付きの部屋をと希望されたからこの部屋を紹介したんだけど、
もっと広い部屋もあるよ』『いくら?』
『80ユーロ』『じゃあ、いいわ。ここで』
そう言えば、昔から貧乏旅行ばかりしてきたものだから、部屋にシャワーがある事は
指定しないといけなかったものだが、どうやら、最近では、殆どシャワー付きは普通らしい。
と言っても、今はさすがに少しだけレベルアップしたホテルやホステルを選んでいるから
当たり前な事なのだが。
昔は星もないキッチン宿ばかりだった習性がーここでも首をもたべげる。
ちなみに、この部屋は38ユーロだった。勿論一部屋の値段である。
クタクタになった私達は、夕食もそこそこにベッドに倒れた。
by necowash | 2011-06-20 20:55 | スペイン、ピレネー山脈探訪
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